そもそも犬がうんちを食べる（食糞）の行動とは何か？
食糞の行動とは何か？
食糞は、犬が自分自身や他の動物の排泄物を食べる行動です。この行動は飼い主さんにとって心配なものであり、理解をしてあげて適切な対応をすることが必要です。食糞の行動について簡単にまとめると下記になります。
- 自然な行動：一部の動物は自然界で排泄物を食べることがあります。これは環境を清潔に保つためや、消化されなかった栄養素を再利用するためです。
- 学習行動：子犬は他の犬の行動を真似ることで学習します。したがって、母犬が排泄物を清掃するのを見て模倣することがあります。
- 注意を求める行動：犬が過去に食糞で注目を浴びて構ってもらった場合、同じ行動を繰り返すことがあります。
犬がうんちを食べる（食糞）理由5点
栄養不足やお腹が空いているため
犬が必要な栄養素を得るために、消化されなかった食物が含まれる便を食べることがあります。この行動は特に以下の点に関連しています。
- 栄養が不足している：栄養価の低い食事や犬にとって適切ではない食事により、犬が必要なビタミンやミネラルを十分に摂取できていない場合。
- 消化不良：一部の犬は食物を十分に消化できず、未消化の食物が便として排出されるため、栄養を得る目的でそれを食べることがあります。
- 空腹を満たす：ご飯の量が足りず、空腹を満たすために食糞をしてしまうことがあります。
模倣行動のため
子犬が母犬を見て学ぶ行動の一環として、母犬が健康的な理由で排泄物を清掃するのを見て模倣することがあります。具体的には以下のように表れます。
- 母犬の行動の模倣：母犬が新生児の健康を保つために排泄物を処理するのを子犬が見て学ぶ。
- 社会的学習：他の犬が食糞行動をするのを見て、それを正常な行動と認識する。
飼い主さんの注意を引くため
犬が飼い主の注意を引きたいときに、食糞をする場合があります。特に、以前この行動で注目を集めた経験がある場合、退屈や孤独を感じた犬が、注意を引くために行うことがあります。飼い主さんは過剰に反応するのはやめて具体的な対策をしっかりと行いましょう。
ストレスや不安を抱えているため
環境の変化、社会的なストレス、または退屈からくる不安が、食糞を引き起こすことがあります。これは通常、以下の状況で見られます。
- 新しい環境への適応：引っ越しや新しい家族構成への適応中に見られる。
- 環境ストレス：騒音や家庭内の他のペットとの共存など、ストレスを感じる環境が原因で行われることがあります。
疾患や健康問題のため
犬が食糞をする背景には、消化器系の問題や寄生虫の感染など、さまざまな健康上の問題が存在することがあります。これらの健康問題は、犬の消化過程に直接影響を及ぼし、結果として食糞行動を引き起こすことがあります。具体的には以下のような症状や問題が考えられます。
- 消化器系の疾患: 犬が慢性的な消化不良を抱えている場合や、特定の消化器疾患に罹患している場合、消化されない食物が便として排出されることがあります。これにより、便が未消化の栄養素を多く含むことになり、犬がそれを食べる原因となることがあります。この状態は、犬が必要な栄養を適切に吸収できていないことを示しており、食糞を通じてこれらの栄養を補おうとする行動に繋がることがあります。
このような健康問題は獣医師による診断と治療が必要であり、適切な医療介入を行うことで、症状の改善と食糞行動の減少が期待できます。獣医師に相談し検査を通じて具体的な疾患を特定しすることが重要です。
犬がうんちを食べる（食糞）の健康リスク4点
感染症のリスク増加
犬が他の犬の排泄物を食べることで、回虫や鉤虫などの寄生虫に感染するリスクが高まります。これらの寄生虫は犬の健康を著しく損なう可能性があります。具体的には以下の影響があります。
- 寄生虫による健康被害：寄生虫は犬の内臓に寄生し、栄養吸収を阻害し、時には重篤な健康問題を引き起こすことがあります。
- 治療の困難さ：寄生虫感染は治療が困難であり、完全に除去するには長期間の治療が必要な場合があります。
消化器系の問題
食糞行動が引き起こす消化器系の障害は、犬にとって大きな健康上の問題をもたらすことがあります。特に、下痢や嘔吐といった症状は、犬の日常生活に重大な不快感を与え、その健康を損なうことがあります。これらの症状には以下のような原因が関与しています。
- 消化不良: 犬が食べた排泄物には、元々消化されにくい成分が含まれている場合が多く、これが犬の消化器系に追加の負担をかけます。特に、消化されずに残った食物の断片が便として排出されたものを再び摂取することは、消化器系を圧迫し、効率的な消化活動を妨げます。その結果、犬は消化不良に苦しみ、これが下痢や嘔吐といった具体的な症状を引き起こす原因となります。
栄養が偏ってしまう
自分の排泄物や他犬の排泄物を食べることは、適切な栄養バランスを崩す原因となり、必要な栄養が不足する場合があります。犬の食事管理において重要なのは以下の点です。
- 栄養の偏り：食糞をしてしまうと栄養の偏ってしまい、さらなる食糞行動（負の連鎖）を引き起こすことがあります。
- 健康への影響：長期的に栄養が不足すると、犬の免疫力の低下や成長の遅れなど、さまざまな健康問題が発生する可能性があります。
不安やストレスの問題
食糞は不安やストレスが原因で引き起こされる場合があり、これが長期化すると、食糞以外の問題につながる可能性があります。具体的には以下のように対処することが考えられます。
- ストレス管理：犬のストレス源を特定し、それを取り除くことで食糞行動を減少させることができます。
- 行動療法：専門のトレーナーや行動療法士と協力して、食糞やそのストレス源になっている行動を直していきましょう。
飼い主ができる具体的な対応策6点
定期的な観察とこまめな清掃
犬が排泄する際には常に監視し、うんちを食べる前にすぐに排泄物を処理することが重要です。これにより、食糞行動の機会を減らすことができます。具体的な対応策としては、以下のように行動します。
- 即時の清掃：排泄後はすぐに糞を回収し、犬が触れないようにします。
- 観察と記録：犬の行動を観察し、食糞行動がいつ、どのような状況で発生するかを記録します。これにより、行動のパターンを理解しやすくなります。
正しい食事管理
適切な犬用フードを与え、犬の栄養バランスを適切に管理することで、食糞の原因となる栄養不足を防ぎます。食事の時間と量を一定に保つことも効果的です。栄養管理には以下のポイントが重要です。
- わんちゃんに適した食材：消化が良く、栄養バランスの取れたフードを選びます。
- 定時定量：毎日同じ時間に同じ量の食事を与えることで、犬の体内リズムを整え、食糞行動を防ぎます。
行動修正トレーニング
「いけない」というコマンドを教えるなど、基本的な服従訓練を行い、犬が食糞行動を始めた際に即座に制止できるようにします。また、正の強化を用いて適切な行動を奨励することも重要です。行動修正には以下の手順を踏みます。
- コマンドの訓練：「いけない」といった明確な指示で不適切な行動を止めさせます。
- 直せた時は褒める：適切な行動をしたときは、おやつや愛情表現で積極的に褒めます。
運動とメンタルケア
十分な運動は犬のストレスを減らし、エネルギーを消費させるのに役立ちます。また、パズルフィーダーやおもちゃを使った頭脳ゲームで精神的な刺激を提供し、食糞行動の代わりになる健康的な活動を促します。具体的には以下の方法があります。
- 日々の運動：長い散歩や走り回れるスペースでの遊びを日常的に行います。
- 精神的刺激：おもちゃやトレーニングゲームを用いて、犬の注意を引き、頭を使う機会を増やします。
獣医師との連携
定期的な健康診断を行い、食糞行動が何らかの健康問題から発生していないかを獣医師と相談します。必要に応じて獣医師の指導のもと、特定の治療やサプリメントの投与を検討することも一つの方法です。獣医師と連携することで、以下の利点があります。
- 専門的な診断：獣医師は犬の健康状態を詳しく調べ、食糞の原因となる病気や栄養不足を特定します。
- 適切な治療：獣医師は病気に応じて最適な治療法を飼い主さんへ伝え、それに応じた治療をしていきます。
食糞防止グッズを活用する
食糞行動を防ぐためにさまざまな食糞防止グッズが存在します。これらのグッズは、犬が排泄物を食べることを物理的に防ぐか、排泄物を不味くして食べる意欲を減少させることを目的としています。主に以下の種類があります。
- マズル（口輪）:マズルは犬の口を覆い、物を拾い上げる能力を制限します。散歩中や監視が難しい時に特に有効で、犬が何かを食べるのを物理的に阻止します。
- 味付け剤:特定の味付け剤を食事に混ぜることで、犬の排泄物に不快な味を付け、食糞の魅力を減少させます。これらの製品は、犬が自分の便または他の犬の便を避けるように設計されています。
- 苦味がつくスプレー:これらのスプレーは、排泄物に直接吹きかけることで、うんちが美味しくないものだとわんちゃんに教えることができます。
- 食事の添加物:犬の食事に添加することで便の味や臭いを変え、食糞行動を抑えるための製品もあります。これらは犬の健康を害することなく、便の魅力を低下させるように配慮されています。
これらのグッズの使用に際しては、犬の安全と快適さを常に考慮することが重要です。また、これらのグッズを使用する際は、それらが犬の食糞行動に対する一時的な対策であることを理解し、行動修正トレーニングと組み合わせることで、より持続的な改善を目指すべきです。獣医師やプロのドッグトレーナーと相談しながら、最適な方法を選択することが推奨されます。
まとめ
この記事では犬がうんちを食べる（食糞）という行動の多様な側面を詳しく調査し、その原因、影響、および飼い主がとるべき対策を解説しました。食糞は自然現象ではありますが直した方が良い習性で、多くの健康リスクを含むため、飼い主が積極的に管理と対策を行うことがとても重要です。適切な食事、行動訓練、獣医師との連携を通じて、食糞を適切に直し、犬との健康的な生活を送っていただけると幸いです。
参考サイト
犬の食糞｜うんちを食べてしまう理由や、対策について解説【獣医師監修】
